政治分野の勉強を始める前に

 政治分野では、みなさんが生活する社会の中にある法律やルールについて勉強します。

 そんな話をした時点で、多くの人たちが「うわっ、法律やルールの勉強なんて面倒くさそう」と、マイナスイメージを持つと思います。というのが、多くの日本人が法律やルールというものに、いいイメージを持っていません。なぜなら、彼らにとって法律とは①守らなければならない面倒くさいものだからです。代表例が、校則です。校則というルールがあるせいで、学校では、スマホは自由に使えないし、服装も指定されているし、好きな髪型もできないし、自由な生活を送ることができません。そんな学生生活を送るうちに、私たちは法律、ルールというものにマイナスイメージをもってしまいます。

 しかし、そこはなんとか我慢してもらって、政治分野の勉強を始めてみましょう。そして、法律、ルールというものがわかってくると、法律というものが②自分たちを守ってくれているありがたいものだということがわかってきます。例えば、18歳未満の子どもたちは少年法という法律があるおかげで、犯罪を侵しても、子どもがやってしまったこととして大目に見てもらえます。また、刑法により、暴力や窃盗が犯罪に当たることが規定されているおかげで、犯罪に走る人たちを減らすことができています。このように、法律やルールがあるおかげで、私たちの生活が快適になっているとわかってくると、政治分野の勉強が少し楽しくなり、勉強にも身が入ってきます。

 そして、さらに政治分野の勉強を続け、完成に近づいてくると、法律とは③使うものであることがわかってきます。例えば、みなさんが結婚し、こどもができた時、どんな手続きをし、国からどんな援助が受けられるか知っていますか? あるいは、友達の家が災害で壊れた時、どんな法律や制度が友達を助けてくれるか知っていますか? また、みなさんが犯罪に巻き込まれたとき、どうやったら問題を解決してもらえるか知っていますか?

 そんな問題の究極の相談相手は弁護士です。弁護士は法律やルールを徹底的に勉強しているスペシャリストなので、彼らに聞けば、具体的な解決方法を教えてくれるかもしれません。しかし、弁護士への相談は基本的に有料であり、なんでもかんでも弁護士に相談するわけにはいけません。そう考えると、最低限の法律やルールは、自分で理解しておいたほうが絶対に便利ですよね?

 実際、私自身、政治経済の先生ですので、もちろん弁護士には到底かないませんが、生徒や友人たちから相談を受けた時、ある程度のアドバイスをすることができます。そして、彼らの役に立った時、「政治経済の勉強をしてよかった」と思います。

 ですので、まずは自分を守るため、そして、自分の大切な人を助けるためにも、ぜひ政治分野の勉強を始めてみてください。そんな学問が政治分野ということは、勉強してみて損ということは絶対にないですよね。